
値は張るが旨いと評判の菓子屋に立ち寄った。暖簾をくぐると店の中から「いらっしゃい」と溌剌な声が飛んできた。
うぐいす色と薄い茶で統一された内装は上品で、とても落ち着いた雰囲気だ。
何か良さそうな物があれば買って帰ろうと思い、硝子越しにショーケースの品物を端から眺めていると羊羹の包みが目に付いた。
竹の子の皮で包まれた長い物がいくつか積んである。
包装紙は紫色で、牡丹の花が描いている。店の印なのだろう。見るからに上等そうに見えた。
すぐ横に見本に小さく切ってあるものが三つ並んでいる。
きめの細かい滑らかな表面と深い色。照明のせいか天辺は艶々としている。
味は右から小豆、栗、芋らしい。成程、うっすらと栗と芋の塊が中央に透けて見える。
何やら芋と栗は季節の限定商品なのだそうだ。小豆は北海道産の上等な物を使っていると店の者は随分と得意気に話す。
訊きもしないのにこの店員はよく喋る。どうにも手ぶらのままでは店を出にくくなった。
仕方ない。値札を見ると思った程高くはないし、旨そうなので羊羹を一巻買う事に決めた。
…そうだ。津田は栗が好きだと言っていた。自分は芋が気になるが栗にしようか。暫く悩んだが栗を買うことにした。
土産用にと奇麗な和紙の紙袋に入れて貰い、代金を支払う。帰ったら茶にしよう。彼奴の喜ぶ顔が楽しみだ。
aoto.
06/11/03
for shibuya-san!
It doesn't only taste sweetness.

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