
草加さんは気分がいいと鼻歌を歌う癖がある。
しかしいつも音が酷く外れているので、何の歌なのかはよく判らない。
あまりにも堂々と、自信満々に奏でる。どうやら本人に音痴である自覚は無いらしい。
草加さんが生み出す不可思議な音階がおかしくてついつい笑いの声が零れてしまった。
すると鼻歌が止んだ。
私が笑っている事に気が付いた草加さんはチラリと横目でこちらを見た。
沈黙が私と、彼との間にある僅かな空間を占拠する。
みるみるうちに草加さんの白い肌へ赤みが差した。ばつの悪そうな顔をしている。
……笑ったのは少し失礼だったかもしれない。
私は一言謝罪を述べた。それから続きを聴かせて下さいと頼んでみたがあっさりと断られた。
つくづく可愛い人だなぁと思う。
aoto.
07/01/20

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