彼が瞳に映す物を美しいと思うのは、私が彼を美しいと思うからである。
頬の滑らかな曲線、透き通る肌の色、繊細な眉の山、色素が薄く茶色味がかった瞳の色に高めの声色。 落ち着きのある雰囲気と、大人しやかな態度の全てが私を虜にした。 初めて彼を見た時の印象はただただ美しいと思うばかりで世界の全ての色彩が一瞬のうちに失われ、 彼の存在だけが明瞭に浮き立ち、淡く優しい桜色に包まれた。 ふっくらと厚い、赤い唇から覗く口腔の肉の色の鮮やかさ。 それらとは対照的な雪の如く白い肌と、彼が身に纏う詰め襟の白の色彩。 書物をめくる細やかな指先の仕草のひとつひとつに胸が高鳴り、脈打つ鼓動が逆流して弾けてしまうのではないかと思った。 伏せた目の周りを囲む長い睫毛が窓から射し込む陽の光を受けてきらきらと輝く。 燦然とした光の中で美しく際だつ彼の姿。 私は彼が気付かぬようそっと近寄って、じっと瞳を凝らしてその姿を眺めていたが、 彼は私に気がついて静かに振り返った。振り返る小さな動きは空気を震わせ、柔らかな風が私の身肌を撫でた。 そうして彼が私に初めておくる視線が大きな波となり、私を深く飲み込んだ。


aoto.
05/09/15
Fall in love.
for koiman-san!

津→草。一目惚れ!