
道の小脇に瑠璃色の花が群生している。小さく、可愛らしい印象を持つ花だ。
春になると田んぼの畦や道端で見ることが出来る。
決して花瓶に生けて飾るような華やかさはない。
しかし、目立たぬ場所で互いに寄り添い、存在を主張しながら生きるこの花が私は好きだった。
だが、花の名前が何であったかを忘れてしまった。
彼に訊いてみると「オオイヌノフグリ」との名を答えた。確かにそんな名前だったように思う。
「これはイヌノフグリだな」
彼は近くに咲いている別の花を指さす。
形はオオイヌノフグリによく似ているが、指さされた花は全体的に赤みがかっている。比べてみると随分と小さい。
イヌノフグリは在来種で、オオイヌノフグリは外来種であるだとか、
別名に"星の瞳"、"春告げ花"等の奇麗な名前があるとの蘊蓄を次々と並べる。
彼は妙な所で物知りなので感心してしまう。ふんふんと頷いて話を聞いているとこんな事を言いだした。
「この花は犬のナニに似ているそうだ」
彼は実のついているものを探しだし、引き寄せて私に見せた。
似ているのだろうか?まじまじと観察してみると、
実が二つ連なって付いているせいか"そう"見えない事もない。
つまり、漢字で書くと"大犬の陰嚢"となるのか。酷い名前だ。あんまりだ。
「それは…あまり知りたくありませんでした」
彼は「ははは」と嬉しそうに笑った。私はどう反応すれば良いのか分からなかった。
(この人は下品な話を楽しそうにする人なのだなぁ…)
aoto.
07/05/05

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